月30万円以内のリスティング広告出稿~リスティングから考える資金繰りと KPI・KGI設定~

こんにちは。林です。

今日は、まず月10万円以内のリスティング広告出稿で成功し、その後、リスティング出稿費が月30万円に迫るまでになった際の考え方の変化についてお話したいと思います。

実は、リスティング広告出稿が月10万円ぐらいまでであれば、広告の出し方次第ではどんぶり勘定でも全く問題なく推移するものの、その後リスティング広告費が月30万円に迫ると緻密な数値管理が出来ないと生き残れないというお話です。心当たりがある方はぜひ読んでいただければと思います。

1. リスティング広告費が月30万円に迫った時の大変化

最初から冷や汗が出るような出だしになってしまいましたが、このような変化を実は私自身も経験した一人です。

まず、大前提としてお話して置かなければならないのは、リスティング広告を月10万円以内で出している時は、

(1) もっともターゲットユーザーが多い時間帯のみに
(2) もっともターゲットユーザーが多い地域に
(3) もっとも広告クリック率・お問い合わせ率・体験率・成約率が高い完全一致キ
ーワードのみに

広告を出稿できるということです。特に30程度のニッチセグメントに絞って広告を出稿している場合には、こうした我が世の春のような状況を迎えることができます。場合によっては月10万円程度のリスティング広告出稿で月商200万~300万円は稼ぎ出せているという人も多いのではないでしょうか。

しかし、ここから事業拡大を図ろうと考えリスティング広告費を月30万円程度まで拡大しようとした場合に、(同一市場での拡大を考えている場合には)その目算がもろくも崩れ去ることが多々あります。なぜなら、月30万円の広告費を同一の市場に費やそうとするならば、往々にして、

(1)’ 時間帯は指定せず
(2)’ 地域も指定せず
(3)’ 部分一致キーワードにも

出稿しなければならないからです。これは大きな変化だと言えます。当然のことながら、広告の反応は奇跡を期待できるようなずば抜けたものではなくある程度平準化されていきますし、その中で採算が取れ、かつ拡大可能な水準を模索しなければならなくなります。こうした際には、資金繰りも含め精緻な数値管理が求められてきます。

2. リスティング広告費が月30万円の時の資金繰りとKPI設定

では、リスティング広告が月30万円の時の資金繰りとKPI設定について、私達はどのように考えれば良いのでしょうか。一つの目安となりうる事例として、ネット家庭教師の運営事業の例を考えてみましょう。

仮に広告費を月30万円使ったとすると、期待できる売上は(広告費率が10%だとすると)、月300万円です。広告費率10%というのは成長企業であれば典型的な水準なので多すぎるとも少なすぎるとも言えないでしょう。この月300万円のうちの収支は、ネット家庭教師の場合だと、

売上 月300万円
――――――――
講師人件費 月60万円
管理人件費 月30万円
広告費   月30万円
家賃    月10万円
書籍代   月10万円
交際費   月10万円
=============
営業利益  月150万円

というような数字になります。

では、売上が月300万円の時に必要な手元資金はいくらでしょう。答えは900万円です。だいたい月商の3倍の資金があれば支払いに困ることはまずないと言われていますし、新規の事業投資も出来、成長を維持することができるでしょう。

しかし、現実問題として900万円の手元資金というのは、月の売上が300万円あってもなかなか手に入らないものです。営業利益には多額の税金がかかりますし、会社をしているとなにかと支出も多いもの。売上も毎月予測どおりに行くとは限りません。事業形態によっては後払いがメインとなる慣行の事業もあるので、そうすると売上が立っても回収できないかもしれません。仮に月75万円が安定して会社に残ったとしても、900万円にたどり着くには1年かかります。実は会社は、売上が停滞した時のみならず、急成長しているときが資金繰りの問題を抱え一番潰れやすいのです。

ですから、まず考えなければならないのは、

(1) 売上を構成する要素を因数分解し、安定して推移させること
(2) 売上回収などを早めるために、まとめ払割引を導入したり、前払い慣行を根付かせるための立ち位置を確保すること

の二つがあります。ここではそれぞれをどのようにすればよいかをここではお話したいと思います。

3. 資金繰り計画を作る際の銀行取引・第三者割当増資に対する考え方

蛇足になりますが、なるべく最初に書くべきことだと思うので書くと、あなたの事業がもしいまいきなり売上があがっていて、それにふさわしいだけの手元資金を確保したいと考える時に、銀行取引か第三者割当増資のどちらかを検討すると思うのですが、私はこのどちらかであれば銀行取引を強くおすすめします。

(ついでにいうと、私は最初の事業では第三者割当増資をし、その次の事業では訳あってどちらもしていません。私は、銀行から借金できるなら、事業によりますが借金すべきという立場です。教育事業は成長スピードはさほど早くないのと前払い制なので借金は必ずしも必須ではありませんが、他の事業の場合はだいたい必須だと思います。)

その理由としては、投資家からの第三者割当増資を受けると、その投資家の意見が的を射ている場合は会社の成長に寄与しますが、その投資家の意見が的外れな場合には会社が潰れかねないからです。

代表的な事例を言うと、こうした投資家が良く執拗に薦める顧客が付く前のITシステム投資は、創業者のあなたがエンジニアであれそうでないケースであれ一切すべきではありません。エンジニアであれ、コードを書くということはわりと時間を食う投資になります。まず、その商品がそもそも売れるのか否かを最低限のシステム投資で検証して、うまくいく、お客さんが来すぎて、スタッフが疲弊して、人力が摩耗しそうと分かったときに初めてコードを書けば良いのです。実際、ミュゼなどもこの方法で成功し大規模拡大を実現したことから(ミュゼはその後別の理由で経営者が変わりましたが)、手元の資金(≒時間)を大切にするというアプローチから考えればまずこれが正解です。

そういう部分から考えると、このステージでの第三者割当増資は百害あって一利なしという側面もあります。なぜならこの程度であれば月300万円程度の売上が出ていて、営業利益率が50%前後あれば、創業から3年以上経過していればたいてい銀行から借りられるからです。借金は怖いといいますが、手元にお金がないことはもっと怖いことです。

ただ、創業間近で創業融資が降りない、ないしは降りても300万円程度という場合、安定した資金繰りには足りないのでインキュベーターやエンジェルのお世話になることも考えたほうがいいです。ただ、この場合にもいきなりシステム投資をするのではなくて、まず売上を上げてからシステム投資をしたほうが安定性は高いです。

ここから先成長して、数億円、数十億円の投資機会が出た時がベンチャーキャピタルの出番です。こういった機会に際して、銀行はそれだけの資金を出し渋る可能性がありますが、ベンチャーキャピタルは大きく賭けてくださいます。これぐらいの投資機会があれば、その時は勿論ベンチャーキャピタルの投資家とも(是々非々で)意見を交わして「対等に」付き合うべきでしょう。

4. KPI改善の方法 (1) 検索ボリューム

さて、資金繰りについて重要なことを一つお話した後で、リスティング広告出稿が月30万円に迫った後にも経営を安定的に推移させるためにの考え方についてお話したいと思います。

まず、リスティング広告からの売上を構成する要素を因数分解すると、

検索ボリューム×広告クリック率×お問い合わせ率×体験率×成約率×継続率×顧客生涯価値≒売上
 という形になります。

ここで、検索ボリュームの改善ということについて考えると、重要な問いは『いかに、買ってくれそうなお客様がいるキーワード出稿の方法を見つけるか』という点にあります。

別記事で詳しく書きますが、たとえばGoogle Adwordsはそのあたりの調整がうまく、買ってくれそうなお客様が検索するキーワードの部分一致キーワードに出稿すると、これまた買ってくれそうなお客様がいるキーワードに出稿してくださいます。一方でYahooリスティング広告については、このあたりはぜんぜんダメで、この検索キーワードを検索する人はまず絶対買わないだろうというキーワードにも平気で出稿してくるので、私はYahooリスティングに対する出稿は最小限まで絞っています。ほかにも、出稿するターゲットを限定できるのであれば、Twitter広告なども出稿先ボリュームを増やす選択肢としてい大いに検討すべきです。

5. KPI改善の方法(2) 広告クリック率

次に考えなければならないこととしては、広告クリック率の向上です。これについても別記事でまた詳しくお話しますが、多くの場合効果がある改善策としては、「機能」ではなく「効果」を売ることです。

ここでいう「機能」とは小論文添削であればまさに小論文を添削するということです。一方で効果というのは「小論文添削を受けた」(機能)→その結果→「慶應SFCに逆転合格した」(効果)という、この「逆転合格」という効果を強調して売ることです。こうしたマーケティングには良い部分と悪い部分の双方がありますが、少なくとも広告クリック率は上がります。

こうしたマーケティングの悪い部分があるとすれば、それは他力本願なお客様が増えるということです。これは学習塾であれエステであれ化粧品であれだいたい同じだと思います。私が運営しているネット家庭教師の会社の場合、まず下記のような広告を出して、その中で偶然やってきた自宅浪人・仮面浪人・不登校の生徒が慶應義塾大学に合格し、その後「効果」を強調した広告に変えました。その結果として、広告クリック率は1%前後→3%前後まで伸びましたが、その一方で、他力本願な生徒が増え、翌年の入試では、もともと優秀な人が順当に合格するという結果になりました。(それでも高校中退者が二人合格するなど、逆転合格の看板に恥じない
成果は出せましたが……)

6. KPI改善の方法(3) お問い合わせ率

KPI改善の方法としては、お問い合わせ率の向上も見逃せません。そもそも、広告を見て興味を持ってクリックしていただいたにもかかわらず、お問い合わせをいただけないというのは、いかにももったいないことで悲しいことです。ですから、お問い合わせ率をいかに高めるかは非常に重要な課題といえます。

お問い合わせ率を高める方法としては、ランディングページに来たお客様がなぜお問い合わせしないのかを考えた上で、その要因を潰していく必要があります。

別記事でも詳しく述べますが、ランディングページを見たお客様が問い合わせをしない理由としては、

(1) ランディングページの内容を見ない
(2) ランディングページの内容が信じられない
(3) ランディングページの内容を見た後に行動しない

という三つの要因が大きな要因として考えられます。それぞれの要因をどのように潰せばよいかがこれらの問題を解決するカギとなります。

まず、(1) ランディングページの内容を見ないという問題についてですが、これについては、ランディングページの内容に共感できないことが大きな要因としてはあります。では、ランディングページの内容に共感できない理由は何かというと、ランディングページを作成する際に顧客の考えていることに対するリサーチが足りないからです。

ランディングページを作った人自身が顧客の抱えている課題の当事者であることはもちろんのこと、反応率が高いランディングページを作るためには、匿名掲示板や質問サイトなどで顧客ターゲットの抱える悩みをリサーチしたり、競合のサイトや書籍を研究したうえでマーケットに対する理解を深める必要があります。

(2) ランディングページの内容が信じられない問題については、人間の心理をしっかりと分析して信じてもらえるようなランディングページをつくる必要があります。まず、大前提として、人間には強い集団帰属欲求があります。ですから、ランディングページのお問い合わせにおいて、一番成果を左右するのは、そこのサービスを使っている人がたくさんいる感じがするかどうかです。ですから、なるべくそのサービスを使っている集団の写真を特にファーストビューなどに掲載した上で、そのすぐ下にある体験談などについてもボリューミーに仕上げていきます。

しかし、そうしたアプローチが出来ない事業立ち上げ初期においては、少なくとも事業参入の最低条件として細部の知識で違和感を感じさせないことが大切です。私のいままでの失敗経験から言っても、自分の専門外の部分で、長いランディングページの一部に、利用者が違和感を感じる部分がある場合には、まずほとんどと言っていいほどお問い合わせは来ません。お客様は相当部分までそのサービスの周辺情報を知っているものだと考えた上で、顧客のインテリジェンスに敬意を払い、自分自身が誰よりもそのサービスの周辺分野については詳しいという状況をつくっていかないと、コンバージョン率が上がるどころか、そもそも成果を出すことすらおぼつかなくなります。

(3) ランディングページの内容を見た後に行動しないという問題については、単純にお問い合わせに際しての煩わしさが問題となっているケースもあります。夏休みの宿題を例に出すまでもなく、人間は一度「●●してみよう!」と考えても、実際にそれを成し遂げるケースはほとんどないものです。このことから分かるように、お問い合わせをしてみようと思っても、最後までフォームを書ききる人は、お問い合わせ意向を持った方のせいぜい3割~5割がいいところです。

もちろん、着実に体験率・成約率を高めるためには、最初から顧客情報を確保しておき、それに沿った案内をすることが有効であることは疑いようもありません。

しかし、人間は、人の目がないところでは、とかく怠惰になりがちなものなのです。そのような人間の特性を考えたときには、やはりお問い合わせについては、LINE@などでワンクリックでできるようなサービス設計をしておき、その上でお問い合わせ段階で音声通話などを使って一つ一つお客情報を手に入れて、適切な対応をしていく必要性があります。

本質的な面でいうと、この3点に気をつけるだけで、お問い合わせ率が5%を切ることは無くなるはずです。

7. KPI改善の方法(4) 体験率

次に、お問い合わせをいただいた後には、いきなり商品を売るのではなく、無料ないしは著しい廉価で体験的なサービスをするケースが、業界問わず多いのではないかと思います。たとえば健康食品であれば、無料サンプルであったり、ないしは定期的な廉価契約であったりを行うことが多いのではないでしょうか。また、サービスECなどにおいても、無料サービスを行った後に有料サービスに誘導することはよくあることです。

この無料ないしは廉価のサービスやサンプルを受けていただくためには、まずそのサービスなりサンプルに対しての顧客の需要を生み出す必要があります。ですから、ここでは原点に立ち返って、

(A) 検索キーワードないしは流入元
(B) LPの内容
(C) 使っていただくサービスやサンプル

の関係が、それぞれ正しい因果関係に沿ったものであるかを再検証する必要があります。意外とこれらがチグハグであるがゆえに失敗しているケースも多いのです。たとえば、検索キーワードは「慶應 英語」であるのに、出てくるLPの内容は「慶應 小論文」の話で、使っていただくサービスが「九州大学の学生による小論文添削」という例が実際に他社でありましたが、このようなチグハグなマーケティングではどれほど予算を掛けたところで最大限の効果は出ません。顧客はこうした細部には非常に敏感で、大企業だからといって資金力でごまかし切ることはなかなかむずかしいのです。ネットでは必然的に多くのサービスを比較検討されますから、リアル店舗ビジネスと違い圧倒的に日本一のものでなければ、まず使っていただくことすらできません。

これらを検証した上で、チグハグでないにもかかわらず体験率が悪い場合には、問い合わせ時の「真実の瞬間」の対応が適切であるか否かを検証する必要があります。「真実の瞬間」とは飲食店の経営などでよく使われる言葉で、お店に入店して3秒以内の店員の対応で、顧客の心象の大半が決まるという考え方です。こうした考え方はネットビジネスにおいても大いに当てはまると私は考えています。こうしたネットの問い合わせにおける「真実の瞬間」は私が考える限り4つあります。

(a) LINE登録をした段階での最初の返信
(b) 返信に対してメッセージを送ったあとの最初の対応
(c) 細かい対応に移った後の最初の印象
(d) 音声のやり取りなどが生じたときの最初の印象

(a) LINE登録をした段階での最初の返信については、LINE@の場合だと「友達追加メッセージ」に登録しておけば自動的に返信がされるのでぜひとも登録しておくべきでしょう。

(b) 返信に対してメッセージを送ったあとの最初の対応についても同様ですが、これを自動化するとデフォルト設定だとどんなメッセージを送っても同じコメントが飛ぶことになるので、bot感が出てしまいお客の信用を損なう可能性が出てきますし、かといってプログラミングなどで友達追加メッセージに対する反応にのみ返信を送るようにしても、顧客は別個の相談も一緒にしていることが多いのでやはり不信感を抱くでしょう。自然言語処理はAIの中でもまだ難しい分野なので、(b) 返信に対してメッセージを送ったあとの最初の対応については、なるべくLINE@を開きっぱなしにしておき、自らすばやく反応するほかありません。24時~翌日8時を除いては、1時間以内に反応があれば嫌な思いをされるお客様はほとんどいないはずなので、そこは安心してください。

そして、(c) 細かい対応に移った後の最初の印象も極めて重要です。とにかく丁寧だなというイメージを持ってもらうことが、その後体験的なサンプルやサービスの導入に繋がります。塾講師のような年上の人間が年下の人間を教えるサービスでも、尊大な感じがでないように、ベースは敬語でお話をすることが大切です。少なくとも相手に不快感を与えない話し方であることは絶対条件です。

(d) 音声のやり取りなどが生じたときの最初の印象についても、同じことが言えるでしょう。これらの改善を通じて、体験的なサービス・サンプルを導入してくださる方が一人でも多くなることが大事です。ここまでできていれば、お問い合わせいただいた方の50%以上はこうした体験的なサービス・サンプルを導入してくださるものです。

8. KPI改善の方法(5) 成約率

次に、体験的なサービス・サンプルをご導入いただいた後の成約率についてですが、これについて一番大切になってくるのは、人間心理的なテクニックよりも、どちらかというと細かい知識について接客担当者やサンプル商品と顧客の中に認識の齟齬が生まれないかどうかが大事になります。

ここで、重要になるのが採用手法です。この部分でのサポートの採用に関しては、コールセンターなどに外注するのではなく、あくまでも自社人材にこだわり抜いて行うべきです。それも自社サービスの利用者であった自社人材に行ってもらうことによって、サービスに対しての認識を揃え、細かい商品知識の部分で顧客から不信感を持たられないことが大切です。

そもそも体験導入まで行っているお客様というのは、成約したいからこそ体験導入しているのです。ですから、ここの段階で成約を確保することは、むしろ私達に与えられた使命と考えなければいけません。この段階からの成約は、商品にもよりますが、ネット家庭教師のように体験を受けている受講生と出資者が違う場合は50%~66%、同じ場合だと限りなく100%を目指さなければなりません。

ついでにいうと、これもそれなりに長く事業運営をしてきた中で培った経験則ですが、「お金がないので……」「親がOKを出してくれなくて……」「夫がOKを出してくれなくて……」といった言い訳はたいていタダの言い訳に過ぎません。実際、合格実績がある程度出るようになってからはこうした話を聞くことはほとんどなくなりました。このようなことから考えても、こうした話しは鵜呑みにせずに、いかに信用を得られるように立ち振る舞うかに注力したほうが良いです。

信用を得るために大切なことは、この段階では人がいっぱいいるように見せるとかそういうことではありません。より本質的なことが重要になります。一言でいえば「サービス・サンプルに実際効果があったことを見せる」ことがこの段階ではとても大切になります。たとえば小論文添削であれば、10日間の体験添削の中で飛躍的に小論文がうまくなったと感じてもらうことが大切ですし、数学添削でも英作文添削でも同じです。もちろん化粧品でも同じです。

ここでキモとなるのは、べつに実際効果が無くても良く、効果があるようにお客様が感じれば良いということです。もちろん商品そのものは長期的に利用すれば効果があることは継続的な商売をしていく上では大前提なのですが、その上で採算が取れる範囲でその効果を実感していただくことはなかなか難しい性質の商売もあります。そういう時には、手っ取り早く効果を実感してもらえることが大切です。

たとえば、あまり適切なたとえではないですが、某有名マルチ講などは、洗剤の販売をするときにわざと濃度の高い洗剤を使ってその性能をアピールしますし、そこまでグレーな手法でなくとも、たとえば小論文添削や数学添削や英語添削であればわざと難しい問題から体験指導を初めて簡単な問題に誘導していき解けるようにしていくとか、同じ問題を何度も書き直させてできたような感じを持たせるとか、なにかしらの工夫の仕方は絶対にあるはずです。体験を受けている人は成約する気で来ており、かつ商品そのものが最終的に顧客の利益になるものであれば、こうした「工夫」には検討の余地があります。

9. KPI改善の方法(6) 継続率・顧客生涯価値

その点、継続率や顧客の満足度の一つの指標になる顧客生涯価値(顧客が入会から退会までに支払う金額の合計)を高めることは、こうした「工夫」が介入する余地がなく生半可なことではありません。一つの考え方としては、とにかくお客様一人ひとりに目配り気配り心配りをして、一人ひとりに関心をもって丁寧に接することです。一気呵成に継続率と顧客生涯価値を高める方法はありません。

あくまでも一人ひとりを尊重した目配り気配り心配りだけが継続率と顧客生涯価値に結びつきます。たとえば、ネット家庭教師であれば、顧客一人ひとりの志望校・現在の在籍校・在籍地・学年・成績をすべて経営者が把握しているかどうかがその一つの指標になります。30人ぐらいであれば把握しているものなのですが、100人を超えると相当な努力をしなければ一つ一つしっかり把握することは困難です。それらを把握した上で、適切なタイミングで適切な動きができるかどうかが大きいと私は考えています。(ネット家庭教師の業界では、入試要項や特化型模試についての案内など志望校の動きに則した声がけなどはその一つですし、日報で異変を感じたら本人の相談に乗ることもこうした基礎的な動作の一つです。そればかりではなく定期的に代表が教え子の様子を時間を取って聞くことは継続率と顧客生涯価値を高める上で必要不可欠です。)

これについては、エステや化粧品などのメーカーでも、学ぶべき点は大きな取り組みではないかと思います。たとえばアプリを活用し、データーを毎日集積した上で、変化があるお客様については先回りして電話をするなどできることたくさんあるでしょう。こうした連絡頻度・接触頻度の部分でどれだけ差をつけられるかが、競合業者に先んじて、高単価商品を売ることができるかに結果として繋がります。

10. KGI改善改善に必要な視点(1) 売上・利益の最大化のための調整

検索ボリューム×広告クリック率×お問い合わせ率×体験率×成約率×継続率×顧客生涯価値≒売上

という因数分解を行った上で、それぞれの変数についてどのように改善するかをお話してきました。これこそが、企業において重要な組織形成を考える上でも必要な動きだと考えられます。(そういう意味でいうと、人事・総務・管理などは創業期は社長が行い、かなり大規模化してからの必要最低限の人数で行い、かつそれらさえ他企業に対して営業して収益化していくような仕組みが必要です。株式会社武蔵野などはそのあたりがうまい会社だと思いますので参考にしてみてください。)

ここで考えなければならないのは、それぞれの変数は時としてトレードオフの関係にあるということです。たとえば、検索ボリュームを増やした結果として広告クリック率が下がることはよくありますし、お問い合わせ率が増えたなあと思ったら、体験率や成約率や継続率、もっといえば顧客生涯価値が激減することもあります。ですから、大切なことは、一つ一つの数値を上げることに注力するのではなく、全体として良い結果を出すために、それぞれの数値の達成・未達成はともかくとして、そうした数値がどのような顧客心理のもと生まれた動きなのかを分析し、次の目標設定と目標達成に活かすことです。

たとえば、検索ボリュームを増やした結果として広告クリック率が下がった場合には、そもそもその商品に興味がないユーザーに広告を出しているのかも知れません。お問い合わせ率が増えているにもかかわらず、体験率・成約率・継続率・顧客生涯価値が下がっているのであれば、顧客が期待している商品と実際の商品に食い違いがあるのかもしれません。単なる季節要因の場合もあるので対前年比のデーター分析も必要不可欠です。こうした面から考えると、いろいろとかんがえなければならないことはありますが、実は原理原則は単純です。それは売上・利益の最大化と経費の最小化です。経営は一言でいえば、これだけで良い。これを達成するために、全体として数字が上がる事業仮説がなにかをPDCAサイクルに乗せた上で考えていかなければなりません。

11. KGI改善改善に必要な視点(2) 顧客・仕入先・新規参入者・代替品開発業者・競合他社との力関係を圧倒的に強くするマーケティング手法の工夫

また、これらの売上が上がったとしても、業界の取引慣行によっては、入金が後払いであったり、適切に回収が進まなかったりなどの問題が起こる可能性があります。特にtoB(企業向け)取引の場合にこのような問題が顕著な問題となります。こうした問題を乗り越えるためには、なにはともあれ取引先に対する力関係を強くする必要があります。また、価格が高値でも顧客に商品を買っていただくためにも、このような力関係は非常に大切になります。ですから、こうした力関係の強さがなければ、そもそも前述した与式の採算性前提は崩れます。

 では、そもそも取引先に対する力関係とは、どのように強くするものなのでしょうか。商売上の利害関係者としては、顧客・仕入先・新規参入者・代替品開発業者・競合他社の五者がいますが、それぞれに対する力関係を強くするための方法を端的にまとめると下記のようになります。

(1) 顧客 → 他の会社からは買えない商品を自社が持っている
(2) 仕入先 → 他の会社には提供できない優れた勤務環境を自社が持っている
(3) 新規参入者 → 新規参入する気も起きないほどの圧倒的なシェア・破壊的な
ビジネスモデル・圧倒的な資産蓄積を自社が持っている
(4) 代替品開発業者 → 代替品の開発をする気も起きないほどの圧倒的なシェ
ア・破壊的なビジネスモデル・圧倒的な資産蓄積を自社が持っている
(5) 競合他社 → 競合する気も起きないほどの圧倒的なシェア・破壊的なビジネ
スモデル・圧倒的な資産蓄積を自社が持っている

では、こうした力関係を作るためにはどうすれば良いのでしょうか。(1)(2)の達成と(3)(4)(5)の達成は分かちがたく結びついているので、それぞれについて説明することで全体観を説明したいと思います。

まず、顧客に対しての強い立場を確保するための、他の会社からは買えない商品を自社が持っているという要件についてですが、このためには、新規参入者が新規参入する気も起きないほどの圧倒的なシェア・破壊的なビジネスモデル・圧倒的な資産蓄積を自社が持っていることが重要であり、代替品開発業者が代替品の開発をする気も起きないほどの圧倒的なシェア・破壊的なビジネスモデル・圧倒的な資産蓄積を自社が持っていることが重要であり、競合他社が競合する気も起きないほどの圧倒的なシェア・破壊的なビジネスモデル・圧倒的な資産蓄積を自社が持っていることが大切になります。これらの中で私達新規参入者が実現できるのは、破壊的なビジネスモデルだけです。ですから、破壊的なビジネスモデルをどのように実現するかが、新規事業において力関係を強くするためには最も大切になります。仕入先に対して強い立場を確保するためにも、他の会社には提供できない優れた勤務環境を自社が持っているが大切であり、これを実現するのも破壊的なビジネスモデルだけです。また、破壊的なビジネスモデルだけが圧倒的なシェアと圧倒的な資産蓄積を生み出し、最終的に常勝軍団を生み出す源泉となります。

この破壊的なビジネスモデルには様々なものがありますが、たとえば

(A) 競合資産の無効化
(B) 競合既得権益の破壊
(C) 徹底したスピード
(D) 圧倒的なクオリティ(≒これは、どちらかというと圧倒的な資産蓄積にも近い)
(E) 圧倒的な顧客接点頻度の構築

がその代表的なものとしてはあります。

まず、(A) 競合資産の無効化に関しては、たとえばレンタルビデオ店を数多く持っていたTSUTAYAやGEOに対するDMMやAmazon、営業マンと営業支店を数多く持っていた野村證券に対する松井証券がこれにあたります。このように、競合が資産だと思っていたものが、実は競合状況の中で重荷になるということはよくあることです。競合が持っている資産を持たないことが強みになるという状況は新規参入者にとっては有利な状況であるといえます。

また、(B) 競合既得権益の破壊についても枚挙に暇がないですが、たとえば年間のローン契約が主流であったエステ業界や家庭教師業界、英会話業界などで単発サービスメインで事業展開を図ることはこれにあたるでしょう。また、家庭教師業界は特に、1割程度のお客様が毎日1時間~2時間程度の指導をオーダーするため、その収益で会社を成り立たせている例が多いのですが、私が経営するネット家庭教師の事業では毎日10分のみ指導を行うことによってこうした既得権益を排除しました。これにより狩猟型の営業力に頼った営業を行うこと無く、インバウンドで営業するだけで顧客が安定して獲得できるようになったため、営業マンを雇う必要がなくなり、結果として従業員に対する立ち位置も強くすることができるようになりましたし、収益性も上がりました。

他にも、(C) 徹底したスピードは競合を打破する際に非常に重要になります。センターメーカーのキーエンスなども求められれば即日納品を行うことによって、営業利益率50%以上、平均年収1000万円以上の業績を毎年キープしています。このように、徹底したスピードを維持することは企業を創業・維持・発展させていくために極めて重要な要素になります。

最後には、(D) 圧倒的なクオリティ、(E) 圧倒的な顧客接点頻度の構築が挙げられますが、これは前者については客観的な指標がないのでなんともいえない部分です。なにせ、これについてはなにか客観的に圧倒的なクオリティであるということを証明するものがありません。ですから、前職で極めて圧倒的な人気を博していたとかそのあたりを指標とするしかないわけですが、たいていこういうのは前職の看板で売れていたケースもあるのであまり参考になりません。その点、(E) 圧倒的な顧客接点頻度の構築というのは誰でも真似できる努力です。毎日連絡するであったりとかがこれに当たります。しつこいと毛嫌いされることもありますが、相手方の利益になることであれば毎日連絡していても案外嫌われないものです。

12. リスティング広告を月100万円まで拡大できるか、打ち出の小槌にするか

ここまでのことをやれば、リスティング広告で月30万円前後出稿して、月300万円前後(だいたい目安としては出稿額の10倍程度の売上)は手に入り、その結果として業種問わず月100万円前後の給料かそれに類する経費を使えるようにはなるでしょう。ただここから先拡大できるかどうかについては、市場規模の問題がありなかなか難しい面もあります。

リスティング広告を運用していてつくづく思うことですが、リスティング広告には
(1) 月10万円程度しか出稿できないマーケット
(2) 月30万円程度しか出稿できないマーケット
(3) 月100万円程度しか出稿できないマーケット
の3種類があります。それ以上の青天井というのはなかなかなく、同じ商品を売るにしても、(3)で飽和した場合には他のマーケットを探すなり、オウンドメディアによるSEO対策やアフィリエーターの活用によるSEO対策、またはテレビCMや通販、量販店での物販など他の宣伝経路を考える必要があります。

ここでまず課題になるのが、リスティング広告を月100万円まで拡大できるかどうかです。拡大できるマーケットの場合は拡大すれば良いと思いますが、その場合には何かしらのビジネスモデルの転換が必要な場合があります。また、月30万円程度までしか出稿できないマーケットである可能性もあります。これが、年商X億円企業を作るまでにぶち当たる壁です。

この時に考えられる手法としては、
(1) 施設などより多くの資本が必要なマーケットに行く
(2) 圧倒的な教材の質・量などより多くの労働が必要がマーケットに行く
(3) 関連するニッチ市場を徹底的に攻略する
というものがあります。

(1) 施設などより多くの資本が必要なマーケットに行くについては、不登校向けなど、再教育に大規模な施設が必要なマーケットに行く上では重要な考え方です。こうしたマーケットにおいては、大規模な施設を構えられるか否かという資本力が重要になります。

(2) 圧倒的な教材の質・量などより多くの労働が必要がマーケットに行くについては、司法試験向けなど膨大な教材量が必要なマーケットで重要になります。こうしたマーケットにおいては、既存の業者よりもクオリティーの高い教材を受講生がこなせる程度に大量に供給できるかが大事になります。

(3) 関連するニッチ市場を徹底的に攻略するについては、たとえば布団である程度の規模を作ったら枕や石鹸に行く、というような顧客が一緒に買うものに進出したり、あるいはいままでの技術を活かして進出できる市場に行くという方法があります。

13. リスティング広告を出し尽くしたあとの既存事業の強化法~不採算市場への取り組み方~

また、リスティング広告には、リスティング広告を打って採算が取れる市場にしか参入できないというデメリットがあります。ですから、リスティング広告を打ち尽くした場合には、リスティング広告では採算が取れない関連・周辺マーケットにどのように攻め込むかということも考えなければなりません。

一つの方法としては、こうしたマーケットにはオウンドメディアで参入するという方法があります。たとえば、私が経営する慶應小論文に特化したネット家庭教師では、実は早稲田など他大学の小論文や合格実績のない他大学のAOについては、広告を打っても不採算になることがよくあります。そういった赤字部門については、一年目は赤字覚悟で広告を打つというのも一つの考え方ですが、なるべくリスティング広告費は「完全一致キーワード」限定で出稿するなどの形でミニマムにして、オウンドメディアによるSEO対策で関連キーワードからの流入を取っていくという方法があります。

14. リスティング広告を出し尽くしたあとの新規事業への進出法~衰退産業へのアプローチ~

また、新規事業の参入先についても、リスティング広告とオウンドメディアの併用を考えながら参入するとなると、自然と参入先が決まっています。私が一つの目安としているのは、アフィリエーターによる競合が多い業種には参入しないということです。つまりA8.netのようなASPからの優良案件が多いマーケットですね。こういった業種には基本的に参入せずに、なるべく違うマーケットから参入するようにしています。あと、アフィリエーターを使うこともしません。アフィリエーターをつかうと情報コントロールが難しく、えてして劣悪なコンテンツを自社コンテンツと誤認されかねない形でばらまかれるためブランドイメージが下がるからです。
参入に際しての基本的な方針としては、集客・採用からサービスの提供までを一気呵成に自社で行うことで利益を最大化するSPAモデルが採用できる業種に限り参入しているようにしています。仕入れ販売だと利幅が少なく、また製品開発・サービス提供の自由度に欠けるからです。

こうした視点で見た時に、実は新規事業は衰退産業のほうがやりやすいという特徴もあります。衰退産業では、有力な競合も少ないため、楽に競争に勝てるという側面もありますが、それ以上に衰退産業ではリアルな拠点がどんどん消えていくため、その隙を縫ってネットでの事業展開ができるからです。
 

このように、市場の選択から、細かいマーケティングノウハウに至るまで、ネットビジネスは店舗型のビジネスと違い、その分野で圧倒的な一位にならなければ、存立すら許されずに撤退せざるを得ないという厳しい世界です。しかし、成功すれば営業利益率はリアルビジネスよりも遥かに高く、安定した資産蓄積が可能になります。

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