リスティング広告から分かる競合の事業に対するリサーチの仕方

 いつもありがとうございます。林です。

 今日は、リスティング広告から分かる競合の事業に対するリサーチの仕方と題しまして、競合に打ち勝って、良い掲載順位、良い結果を得るために大切にすべき考え方について、いくつか話していきたいと思います。

1. リサーチの前提として世の中の成り立ちがピラミットであることを知る

 まず、リサーチの前提として大切なのは、世の中の成り立ちがピラミットであるということを知ることです。成績であれば成績が良い人は少なく、成績が悪い人は多い。お金であればお金持ちな人は少なく、お金がない人は多い。そういうピラミットを考えた時に、自分たちが事業の永続と発展を旨としたときに、どういう層を狙うのかを考えることが大切です。この二つのピラミット、つまり努力のピラミットとお金のピラミットというのは、特にネットを通じてサービス業を展開する際には常に考えておく必要があります。たいていのサービスの場合は、この努力のピラミットとお金のピラミットは重なりますが、エステは努力している旦那のお金で奥さんが通うものですし、塾は努力してる旦那のお金で奥さんが選び子供が通うケースが多いので、この努力のピラミットとお金のピラミットが重なり合わないことがあります。こういうマーケットは、購買者の購買の意思決定の厳しさが、必ずしも単価と比例しないという意味では狙い目です。(たいていの商品は、お金持ち向けのサービスであればあるほど、購買の意思決定が厳しく、かなりの経営努力をしないとご購入いただけません。)

 その上で、この二つのピラミットの中でどの層に向けた商品を売るのかを考える必要があります。たとえば、私が慶應小論文に特化したネット家庭教師を始めたときには、慶應に行きたいというだけである程度の経済力があることは明白なので、慶應志望者の中では比較的お金がない層を対象にし、単価も競合他社の半額程度にしました。それでも実家なりおじいちゃんおばあちゃんはお金を持っているので、信頼を得て最終的には高額な契約になることもままあるからです。また、努力のピラミットについては、成績が良い人よりは成績が悪い人の方が世の中には圧倒的に多いですから、そういう人たちの目に留まる広告を作ることを意識しました。競合他社が十年前ほどの模試で一番を取った人の実績を十年以上も貼り付けているのに対し、私達はそういう全国模試上位者が今年の合格者の中にいても、一番末席にそういう優秀な子の体験記を追いやり、一番最初に紹介するのは奇跡的な逆転合格を果たした子の体験記にしました。これは、慶應程度の大学であれば、そうした成績が悪い子でも一年二年がんばれば合格するからです。倍率はどんなに高くても10倍、通常は5倍程度ですから、どうにかすれば受かる可能性があります。ですから、成績が悪い子向けの広告を配信しても全く問題ないのです。

 一方でこれが、予備試験・司法試験のような超難関試験であればまた話しは別です。予備試験は合格率が3%程度ですから、予備試験・司法試験合格者を集めようと思ったら狙うべき層は、成績は優秀だがお金がない子です。そういう子向けに徹底的に無料サービスをし、合格実績を作って、それ以外の生徒からお金を取るというのが合理的な判断になります。このように「お金のピラミット」と「努力のピラミット」を見ることで、どのようなターゲットをどのようなキャッチフレーズで集めればよいかが明確になります。

2. 「金持ちから儲けるのは大変なんだよ。貧乏人から儲けるほうが楽なんだよ。」

 この言葉は、事業者金融で大成功したある事業家の言葉です。この言葉ほど事業の本質を表しているものはないと思い、私が事業をする上での座右の銘にしています。

 この言葉を私なりに解釈すると、お金持ちというのは選択肢がある人達なのです。お金に糸目をつけないわけですから、いくらでも選択肢がある。こういったお客様の相手をするのは大変なことです。常に最高のサービスが求められます。スタッフに仕事を任せて拡大することもできません。そもそもお金持ちのお客様は本当に良いスタッフからのサービスを求めますし、そうでなければ他の業者に行きます。さらにいうと、お金持ちのお客様はそもそも絶対数が少ないですから、規模の拡大ができません。

 その点、お金持ちでないお客様というのは楽なものです。まず、お金持ちでないお客様には選択肢がありません。お金が限られていますから実質的な選択肢が弊社のみに限られている場合も多いのです。そういったお客様であれば、スタッフに仕事を任せて、精緻なマニュアル通りにスタッフが働いてくれれば文句はいいません。他の業者にも行きません。さらにいえば絶対数が多いですから規模の拡大ができます。

3. 競合の収益構造を予測して、次の一手を考える

 こういう視点を持って競合の収益構造を予測すると、自社の次の一手が見えてきます。競合が少ない顧客に対して単価の高い商品を売っているのであれば、自社はその逆をすれば棲み分けができます。ただ棲み分けをするだけでなく、そのうち自社が安定した成果を出せば、少ない顧客に対して単価の高い商品を売るアップサイドメニューを出し、競合の顧客を奪うこともできます。そういうふうにして、狙いやすいマーケットを狙い、そこを占領して安定した収益を出せるようにしてから、狙いにくい難攻不落のマーケットを、自らの手に落ちるまで何度も何度もしつこく攻略していくという横綱相撲ができるようになります。

 リスティング広告を見れば、実際のところ競合の収益構造はほとんどの場合予想できます。リスティング広告が、レベルの高い顧客を狙っているのか、レベルの低い顧客を狙っているのか、クリック単価はいくらか、客単価はいくらか、これらのことが分かればだいたいの収益構造は予想が付くからです。

 これらのことが分かってしまえば、あとは相手方が狙っていないマーケットを一目散に占領し、高い収益を上げ、そしてクリック単価を競合が許容できないレベルまで上げて、掲載順位一位を取れば競合に今まで来ていた顧客を取ることさえできます。この段階で競合にとどめを刺すために、デザインやキャッチフレーズを競合側に寄せていき、客単価だけを競合の半額程度か最悪無料にして一気にマーケットを取りに行ってもいいでしょう。ある程度の蓄えが出来たら、競合が倒産するまでは商品を無料にしてしまっても良いと思います。(もちろん独占禁止法の不当廉売の問題もあるので、アップサイドの有料商品は作っておく必要があります。ただ、ニッチなマーケットでは、競合が倒産したらどうせ裁判するほどのお金は捻出できないので全く問題ではありません。)

4. 競合の動きに対する対応は、勝てるまでは差別化、勝ってからは封じ込め

 競合の動きに対する対応ですが、これは自分たちの会社がNo.2以下であるときと、No.1であるときには180°異なります。

 自分たちの会社がNo.2以下であるときに大切なのは差別化です。No.1を走る会社は大抵の場合、ものすごく強い経営資源を持っているのが常ですから、そのNo.1のターゲットから外れた人たちをいかにすくい取り規模を拡大するかが重要になります。どんなに強いNo.1でも、費用対効果や単価の問題から「ここはやらない」と決めているマーケットはあるので、その部分を集中的に攻めていくのです。

 逆に勝ってから大切なのは、競合企業が差別化を仕掛けてきたときに、いち早く差別化を無効化すべく似たような施策を打ってしまうことです。こうした機敏な取り組みなくしてはどんな小さいNo.1も維持することはできません。差別化につながらないような本質的ではない攻撃に対処する必要はありませんが、差別化につながるような本質的な攻撃を仕掛けられたときには即仕返しをする必要があります。

5. ランチェスター戦略に従い、細部への対応を徹底することも大切

 こうした闘い方のことを「ランチェスター戦略」といいますが、このランチェスター戦略では、闘いのスケールをまずは小さなものに限定することが求められます。ですから、多くの競合は、あなたの会社がある程度の規模になったら、細部への対応を徹底することで先行するあなたの会社に追いつこうとします。ですから、細部への対応をきめ細やかにしないと、あなたの会社はすぐに潰れてしまいます。

 そのようにならないようにする一つの方法としては、事業を小さなユニットに任せ、なるべく多くのスタッフに事業責任を負わせることです。多くのスタッフが自社の事業のことを自分のこととして考えられるようになると、強い事業がたくさんできます。当然そこには、その活躍に応じて給料を上げたりする心遣いも必要でしょう。決済権と報酬の両面で、事業を我がこととして考えるスタッフに報いる必要があります。

6. 初見のお客様の知性に敬意を払おう

 また、競合のリスティング広告をリサーチしていると、時として非常に欺瞞的な誤読を誘うような表現に出くわすことがあります。例えば、今年の合格者は2~3名しかいないのに、10年前の大学別学部別特化型模試で2年連続で全国1位の受験生が出たからと言って「2年連続全国一位の実績」と書いてある業者がいましたが、これは合格者が全国で一番いるというような誤認を誘う表現です。ただ、こういった表現に目くじらを立てる必要はさほどありません。なぜならユーザーもバカではないですから、正真正銘のバカ以外はこうした欺瞞に気付くからです。

 大切なことは、初見のお客様の知性に敬意を払うことです。たいていのお客様はあなたが思っている以上に厳しい見る目をもっています。たとえば最近私は、ある定食屋のとんかつを食べましたが、一枚肉ではなくて、何枚かの肉をつなぎ合わせて作った肉でした。ですからロース肉なのに脂身がないのです。パサパサしているのです。また、あるスーパーで買ったシュークリームはクリームの色がカスタードクリームのわりには妙に白く、悪い質の卵を使っていることは明らかでした。このあたりは私も料理をするのですぐわかります。見る目の厳しいお客様は相当なボリュームがおり、そうしたお客様に対応できる広告を作らなければいけないのです。

7. 多くの人間が陥りがちな誤謬を学ぼう(事業に使うか否かは別としても勉強になる)

 多くのお客様が騙されてしまう誇大表現については、自分は使わないにしても知っておく必要はあります。事業に使うか否かは別として勉強になりますし、競合がそうした表現を使っている場合には参入すべきマーケットのいい目安になるからです。

 塾業界は比較的こういった誇大広告が多い業界なのですが、こういった誇大広告が跋扈する業種では顧客はファーストインプレッションからこういった業界に対して悪い印象を抱いています。たとえば、同業でオープンキャンパスの時に「オープンキャンパスの案内です。お一人一部受け取って前にお進みください」といって自塾のパンフレットを配っていた塾経営者がいましたが、こうした業者は利用した後も顧客からのクレームが多く、退会率が高いものです。一事が万事でウソを付く人はだいたいウソを付き続けますから、そういった競合が多い業界であれば、ウソをつかないことだけで勝ち上がることができます。

8. リスティング広告の掲載順位争いに対する考え方(順位は目的ではなく手段だが最重要)

 「勝ち上がる」という言葉の定義を話すと、売上利益で一番になることです。そのための手段としてリスティング広告の場合だと、掲載順位が1〜2位になることが重要です。掲載順位を1〜2位にするために大切なのは、

(1) クリック単価が高いこと(Yahooはこれだけで良い)

(2) サイトのディレクトリ構造がGoogleが求めるものであること

 の二点です。

 前者については、このサイトでも紹介している様々なテクニックを用いて収益性を高めれば良いのですが、問題は後者です。このサイトのディレクトリ構造を手に入れるためには、リスティング広告をがんばるだけでなく、オウンドメディアを持つ必要があります。

9. 競合の強みを「無効化」するための秘策とは?

 また、リスティング広告出稿の管理を考える際には、競合の強みを無効化することも大切です。たとえば、慶應小論文の添削事業では一時期、塾長が直接添削することを売りにするサイトがありましたが、こうした取り組みに対して他の業者が書いた広告が素晴らしかったのを覚えています。それは、「慶應小論文では様々な分野から出題されるため、一人に添削してもらうよりも複数人に添削してもらったほうが有利です」という趣旨のものです。これにはなるほどと思いました。

 この話に限ったことではないですが、競合が「資産」だと思っているものをむしろ「負債」に変えてしまうような、そういった取り組みが広告を考える上でも必要です。競合の「強み」は実は言い方次第では「弱み」になることもあるのです。そういった視点で競合の広告について考えて見ていただければと思います。

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